翻訳サービス「Amazon Translate」と「Google翻訳」を比較してみた

Webで翻訳、と聞いてまず思い浮かべるのは、Google翻訳ではないでしょうか。
筆者も以前は、Google翻訳にとてもお世話になってます。
しかし、最近、Amazon Translateを利用する機会が増えてきました。
その理由について、少しお話ししたいと思います。



Amazon Translateとは?

AmazonのクラウドサービスであるAWSで提供されているサービスの一部です。
大まかな特徴は以下の通りです(いずれも2020年4月時点のものです)。
  • 54の言語に対応し、相互変換が可能
  • 入力の言語を自動判別する
  • ニューラルネットワークによる機械翻訳により、自然な表現での翻訳が行われる
  • バッチ翻訳(大量のドキュメントの一括翻訳)と、リアルタイム翻訳に対応している
  • 文言のカスタマイズにより、特定の業種や会社に依存した用語を、予め登録しておくことができる(特定語句の誤訳を減らすことが自分で調整できる)
  • APIにより自身で翻訳botなどを開発することができる
  • 100万文字あたり15US$(最初の12ヶ月間は200万文字/月が無料枠として使用できる)

Google翻訳との違い

Google翻訳は、基本的に無料で使用することができますが、APIに関しては少し事情が違います。
Google翻訳そのものにはAPIの提供はなく、代わりにCloud Translationを使用することになります。
APIについては、プランにより異なりますが、概ね100万文字あたり20US$かかります。
一方で、対応言語が100以上と、Cloud Translationの方が優れている面ももちろんあります。
あと、Googleのサイトから気軽に翻訳できる、という強みももちろんあります。

どちらも一長一短な部分はありますが、特定語句をカスタマイズできる点でAmazon Translateを利用する機会が増えた、ということになります。

Amazon Translateの使い方(ブラウザから翻訳するケース)

今回はAPIを使った翻訳ではなく、Google翻訳のようにブラウザから文字を入力してリアルタイムに翻訳する使いかたについて、手順を紹介します。

まず、Amazon Web Serviceのアカウントを作成します。
作成には、クレジットカードの登録が必要です。
ただし、AWSには無料枠というものがあるので、すぐにお金がかかるというものではありません。

AWSアカウント作成の流れ

アカウントが作成できたら、ログインし、AWSマネジメントコンソールを起動します。
そして、サービスから「Amazon Translate」を検索し、選択します。


Amazon Translateの画面が表示されたら、「リアルタイム翻訳」を起動ボタンを押します。


すると、下記のような画面になります。
ここでは、Google翻訳同様、左側の入力領域に文字を入力すると、その文字列に対する翻訳が右側に表示されます。


もし、言語を入れ替えたい場合は、各言語欄の真ん中にあるボタンを押すと、左右入れ替わります。



翻訳語句をカスタマイズするには、メニューから「カスタム用語」を選択し、「用語の作成」ボタンを押します。


その前に、用語辞書を用意しておく必要があります。
形式は、CSV、またはTMX形式です。
ファイルの先頭に、言語をあらわす文字(例:en, jp, fr ...)を指定し、2行目以降に、翻訳の対になる語句を羅列していきます。
en,ja,fr
rainy,飴ちゃん,a-me
もし、翻訳対象の言語が2つしかない場合は、列を2つにしてもいいし、3つ以上指定することも可能です。
また、先頭に記載する言語からのみ、カスタム用語が使用できますので、ご注意を。

ファイルをUTF-8形式で保存したら、用語の作成を続けます。
「名前」欄に適当な名称(英数字のみ)を入力し、ファイルを指定します。
今回は、他のオプションはそのままにして「用語の作成」ボタンを押します。


登録に成功すると、下記のような画面になります。


では、リアルタイム翻訳に戻ってみましょう。
先ほど登録した「rainy」を含む文字で翻訳してみましょう。


この状態だと「rainy」が「雨」のままであることが確認できると思います。
そこで「追加設定」をクリックし「カスタム用語」をONにします。


すると「雨」だったところが「飴ちゃん」に変わったのが確認できると思います。


先ほど、フランス語も登録したので、ついでにフランス語でどうなっているかみてみましょう。
ここで注目して欲しいのは、ターゲット言語に選択できる言語が、カスタム用語に登録した言語のみであることです。


では、フランス語を選んでみましょう。


「rainy」に対するところが、登録した「a-me」になっていることが確認できましたね。
なお「rainy」のフラン誤訳は「pluvieux」です。

まとめ

今回は、ブラウザから簡単にAmazon Translateを使用する方法を紹介してみました。
ただ、モバイル端末などからは、AWSマネジメントコンソールが若干使いにくいので、モバイル環境では、やはりGoogle翻訳の方に分があると思います。
APIを使った環境もそれほど難しくなく作れそうですので、それができればモバイル端末からも使いやすくなるのでは、と思います。

というわけで、Google翻訳ではなく、Amazon Translateを使った翻訳もぜひ活用を検討してみてください。

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